小さい頃からずっと思ってたんだ
世界と5ミリずれてんなあってね


たった5ミリなんだけどね
決定的な違い。


みんなが笑うとこで
笑えない。


寂しいと言えたことがない。


人と繋がる術を知らない


愛想笑いに疲れてしまう


5ミリなんだけどねえ


だからさあ、君のスカートの中も5ミリずれて見えるんだよ
ねえ ねえ 聞いてる?


はあ?
あんた何わけわかんないこと言ってんの?


さっさとサラダバー取ってきてよ。


だからさあ
僕はいつでもどこへでも行けるだよ


今すぐ、東京だって、福岡だって
だって世界が5ミリずれてるからね


はいはい。
馬鹿言ってないで、この子見ててよ


ちょっとトイレ行ってくんね


もうなんで信じてくんないのかなあ
ねえ 君は信じてくれるよね


見えるでしょ
ほら、あそこが割れて見える


あれが5ミリのはざまだよ


3歳の僕に死んだオヤジはそうたしかに言ったのだ
そして僕には見えていた


世界が5ミリずれていたのを
そして、その感覚を僕も引き継いでしまったことは


誰にも言ってない。
いつか僕の子供に話してあげなきゃ


きっと彼にも世界はずれているはずだから。